
ダイビングでよくある質問のひとつが、「どのくらいの深さに潜るんですか?」というものです。そこで今回は、レジャーダイビングで潜る深度について解説したいと思います。
スクーバダイビングの最大深度とライセンス
レジャーダイビングでは「受けたトレーニングの範囲内で潜ること」が、原則となっているため、受けたトレーニングのレベル(持っているライセンスの種類)によって潜れる最大深度が変わります。
- オープンウォーターダイバー資格: 最大18mまで潜れる
- アドバンスドオープンウォーターダイバー資格: 最大30mまで潜れる
- ディープダイバースペシャリティ資格:最大40mまで潜れる
しかし、オープンウォーターダイバーライセンスで18m以上あるポイントを潜っても、なにかペナルティがあるわけではありません。では、ライセンスによってなぜ深い深度のダイビングが制限されているのでしょうか?
なぜオープンウォーターダイバーが18mまでしか潜れないのか?
18m以上深い深度に潜るダイビングをディープダイビングといいますが、オープンウォーターダイバーには推奨されておりません。なぜかというのは、いろいろな見解があるかと思いますが、安全にダイビングを楽しむ上で、大きく3つの理由があると思います。
- 窒素酔いと減圧症のリスク
- 空気の消費が激しくなる
- トラブルの際の安全性
- 窒素酔いと減圧症のリスク
ディープダイビングではより窒素酔いや減圧症のリスクが増加します。そのため、より頻繁に減圧不要限界を確認したり、自身の体調の変化に気を付けるようにしなければなりません。スキルや知識、経験が十分でないと、確認を忘れたり、異変に気づけない可能性が高まります。 - 空気の消費が激しくなる
個人差が激しいですが、初心者ダイバーは緊張などからエアの消費が早い人が多いです。それに加え、水中では、深く潜れば潜るほどエアの消費が激しくなります。そのため、浮上や安全停止時間も考慮に入れると、初級ダイバーは18m以深のダイビングは避けた方がよいということになります。 - トラブルの際の安全性
もしなにかトラブルが起きて浮上する際も、18m以内の水深であれば減圧症のリスクはディープダイビングに比べて低くなります。
40m以上は潜れないの?
理論上、減圧不要限界を超えずに40m以上潜ることは可能です。ではなぜ、レクリエーショナルダイビングでは40m以上潜ってはいけないのでしょうか?
- 40mは米海軍のルール(参照:How Deep Can You Scuba Dive?)
スクーバダイビングはもともと軍事目的に開発されたということもあり、軍のルールに基づいているところが多くあります。40mの規準も1950年代に米海軍が定めたものであり、その理由は減圧不要で40mで活動できる時間が10分であり、それ以上の深度では活動時間が短くなりすぎ、有用ではないとされたからです。 - 40m以上潜るとどうなるの?
先に述べたように、理論上、減圧不要で40m以上潜ることは可能です。しかし、減圧不要限界までは数分間で、エアの消費が早くなって、減圧症や窒素酔いのリスクが高まり、通常のダイビングの手順では安全に潜ることはできません。そのため、40m以深のダイビングには、特別なトレーニングや装備が必要で、テクニカルダイビングと呼ばれています。
最大深度はトレーニングを受けた範囲で!
ここまで、ダイビングの深度について解説してきましたが、安全にダイビングを楽しむ上で伝えたいことは、最大深度はトレーニングを受けた範囲内にするということです。ダイビングを始めて間もない人は移動することや浮力調整に精一杯だったりして、魚や景色を楽しむ余裕はないかもしれません。しかし、経験を積んでいくとだんだんと活動の幅を広げていきたくなっていきます。そんな時、トレーニングを受けていないのにディープダイビングを行ってしまうと、思いがけず危険な行動をしてしまうかもしれません。ディープダイビングに限らず、PADI継続教育でスキルや知識を身に着ければダイビングをより安全に楽しくすることができます。
オープンウォーターダイバーライセンスを取得すると、水中世界という新しい世界の入り口に足を踏み入れることができます。
その後、アドバンスドオープンウォーターダイバーライセンスを取得すれば、水中世界のいろいろな楽しみ方を学ぶことができます。
ダイビングをより楽しむ上で、常にスキルの向上を心掛け、必要に応じて継続教育を受けましょう。そしてトレーニングを受けた範囲で無理のないダイビングをしましょう。